昔、俺が用事を済ませ車に乗ろうとした時に起こった近所の、ある裏道での事だった。
実話である。
『泥棒?、、、』
そこは、ショッピングセンターの裏側にあたる、黄金色が綺麗な稲刈り前の田んぼに面した細い道だった。
俺は、気になりながらも車に乗るとゆっくりと走り出した。
すると、2人の20代前半の男が、田んぼに紛れ稲穂の中に身を隠す所だった。
『あいつらか、、、面白そうだ、いっちょ脅かしてやるか。』
俺はそう思い、車から降りると大声で叫んだ。
「おい!!こっちに居るぞ!!田んぼの中に隠れたぞ!!」
と、まるで万引き犯を追っている、店側の一員に成り済ましてそう叫んだのだ。
『ははは、こいつら捕まえて店の社長から感謝されるぞ、、、。ん?、、、社長の娘さんって言ったら、大体が綺麗だって事が科学的にも立証されてなかったっけ?』
俺って天才、、、最高な事をナイスタイミングで思いついたもんだ、、、
と、俺は空想にふけりながら、万引き犯の若者たちが俺の今後を左右する大事な商品に見えて来た、、、。
『見失う訳にはいかない、、、。絶対捕まえてやる!』
俺はそう誓うと、空想しつつも若者二人から目を離さず、万引き犯たちの動きを読んだ。
『社長令嬢、、、いいじゃないいいじゃない。
ちょっと照れた感じで恥ずかしそうに言うんだろうな、、、
「先日は父の店に入った万引き犯を捕まえて下さって、本当にありがとうございます、、、私でよければ、、、」』
「い、いいんですか?、、、じゃ、ちょっと触ってもいいですか?」
「は、はい♡」
、、、逃がす訳にはいかない!!
俺は、賞金稼ぎのように、この二人を捕まえる事だけに集中した。
『待ってて下さいよ!娘さん!俺、捕まえてみせます!!』
すると、悪党二人組がヤバいとばかりに稲穂を激しく揺らしながら田んぼから出て行く所だった。
その頃、店の店員達は極悪犯たちとは別の方を探している事に気付いていた俺は、これはまずい!逃げられる、と思いとっさにひらめき、こう叫んだ。
「そっちに逃げたぞ!!、、、おぉ、そっちそっち!!そっち行ったぞ!」
すると、凶暴犯二人は面白いように、慌てふためき急に立ち止まりアタフタして、方向を変えた。
その方向は店の店員達が探している方だ。
俺は、思い通りの展開にすぐさま続けて叫んだ。
「逃げた!!別の方に逃げたぞ!!」
その言葉を聞いた脱獄犯二人は、水を得た魚のように意気揚々と思いっきり店員達の居る方向へと走り出した次の瞬間、、、、、
あっけなく捕まった。
飛んで火に入る夏の虫とはこの事だ、と俺の頭の中は社長令嬢の事で一杯になった。
すると、犯人二人を捕まえた店員達がこちらを見ている。
『いいの、いいの。これくらいの事は当たり前の事ですよ』的な顔をして、早く社長が出て来ないかとさり気なく待っていると、、、
どうやら様子がおかしい、、、どうも、俺を主犯だと思って見ているらしい事に気付いた、、、
『ねぇ?、、、社長は?社長の娘は?、、、』
その時の俺の髪の毛は金髪を通り越したほぼ白い頭、、、。これじゃ間違われてもおかしくないか、、、
こんなハズじゃなかったと俺は諦め、車に乗って風のようにその場を去った。空想の中では結構なイチャつきぶりだったのに、である。
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