俺は少々田舎の舗装されていないあぜ道を車で走っていた。
走っていたと言うより、道を間違えたのでU-ターンをしようと脇道に入ったのが、たまたまその道だった、という言い方が正しい。
すると、小川が流れる小さな橋を渡ると、こちらも舗装されていない車が20台ほど停められる駐車場に辿り着いた。
俺はそこで車をU-ターンさせて元来た道に戻ろうとした。
その時、俺は小川が気になったので、車を脇に停めて覗き込んだ。
小さい頃、小川や山や池が大好きでほとんど毎日のように魚や亀を捕ったり、山ではクワガタやカブトムシ、蝉やカマキリを捕まえては家に持ち帰っては自分で飼っていた。
だから小川が気になり、魚が泳いでいるのかな?と覗き込んだのだった。
すると、すぐに1台の軽自動車がその駐車場に入って来て車を停めた。
運転席からお母さん、助手席からは小学1年生くらいの男の子が降りて来た。
どうやら、その駐車場はすぐ近くにある保育園と隣接しているお寺の駐車場として使われているようで、お母さんは保育園の方に一人で歩いて行った。
男の子は、すぐに小川のフチに行き、小川を見ながら何か餌のようなモノを自分の小学校でかぶる黄色の帽子から取り出しては投げ込んでいた。
俺は、車から降りてその男の子に近づいて声をかけた。
「魚居るの?」
すると男の子が答えた。
「こっちに居るよ。」
俺は餌を投げていたので大きいコイが居るのかな?と思っていたのでさらに聞いた。
「餌食べる?コイが居るの?」
すると男の子は言う。
「ちっちゃい魚。これ、餌じゃないよ、ドングリを投げてただけ。」
とニッコリと笑った。
「あぁ、ドングリか。お菓子かと思った。」
と俺も笑いかける。
二人で笑っていると、その男の子のお母さんが保育園の前で、誰か別のお母さんと振り返ってこっちを見ていた。
俺は思った。
『そりゃそうだ、親なら気になって見るよな。』
俺は、決して風貌は良くない。頭も金髪を通り越した白に近い金髪だし、髭もはやしている。ただ素敵なだけだ、、、。素敵ではあるが、風貌はあまりよろしくはない。
そりゃ気になって見るわな、と。
俺は親心になって、そのまま男の子から立ち去ろうとした。親に安心してもらった方がいい、と、、、。
そう思い、立ち去ろうと思った瞬間、お母さんはもう一人のお母さんと、話しながら保育園に入って行ってしまった。
『おいおい、大丈夫なの?自分の子ども心配じゃないの?』
だって、その保育園まで50〜60メートル離れていて結構遠いのだ。何かあってもすぐに戻れる距離じゃない。
おいおい、そんな甘い管理能力でいいの??と、俺は思ったが、でもこれが田舎の良い所なんだな、という事に気付いた。
もしも、俺が変質者で悪い事を企んでいたとしたらどうするんだろう?とちょっと心配になったけど、こういう田舎の人たちは人をすぐに信用してしまう擦れていない人でもあるんだな、と思い、ごく近所の田舎の人はまだまだ純な心を持っているんだ、と嬉しくなった。
見ず知らずの俺を信用してくれた事に対してとっても嬉しくなった。
まだまだ世の中捨てたもんじゃないな、と気付いたちょっと嬉しい遠回りだった。
終わり
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