「知っていますか、、、人間ってやつは、悩み苦しんでる時必ずやってしまっている事があるんですよ。」
と、“悩んでいる男”に向かって、一人の“背の低い男”がそう言った。
「、、、誰だお前!生意気な奴だな。見ず知らずのお前に何が分かるって言うんだ!このチビ。」
“悩んでいる男”がそう言うと、“背の低い男”は再び口を開いた。
「偏見、、、ってやつで僕を見ないで下さい。僕はあなたを救うように、神からのご指導で導かれてココにやって来たんですから。
そして、この任務が無事終われば、神様が僕の願いを叶えて下さると約束してくれたのです。」
“悩んでいる男”は苦笑いしながら、ちょっと驚いた顔で言い返した。
「誰からそんな事を吹き込まれて来たんだ?、、、誰に言われて来たんだ?俺をからかっているつもりなのか?」
“背の低い男”は微動だにせず、寂しそうな哀れむ様な目つきで“悩んでいる男”に言った、、、
「あなたは、トイレでうんちをしますよね?、、、もしも、トイレでなくあなたの家の庭でうんちをした、と仮定して下さい。そのうんち、どうなりますか?」
“悩んでいる男”は、その“背の低い男”を小馬鹿にしたような顔をして、それでも即答でこう答えた。
「は?何言ってんだお前、、、そんなもん臭くてしょうがないだろ。ハエが集って来るに決まってるじゃねぇか。、、、それがどうだって言うんだ。」
すると“背の低い男”は、“悩んでいる男”に動じる事無く諭す様な口調でこう言った。その姿は、まるで威厳のある老人のような風格にすら映った。
「それですよ、、、。あなたが今、ずっと悩み続けている事と同じ仕組みというのが。これと同じ事を、あなたは気づかぬうちに知らず知らずのうちにしてしまっているんですよ、、、。」
“悩んでいる男”は、まさか、自分よりも1メートルくらいチビの自分が見下している、この男の言う
『言葉の意味』
を理解するのに意識を集中しなければいけない事に苛立を覚えつつも、少々恥ずかしくて乱暴に言い放った、、、
「さっきから何なんだ!?、、、あぁ!?お前このやろー、、、どこのチビだ!!」
“背の低い男”は、その言葉をまるで微かな風が体を通り抜ける時と同じように、さらりと受け流しながら
“悩んでいる男”に相変わらず哀れむような目つきと愛情深い瞳で、“悩んでいる男”を優しく包むかのように話し出した。
「怒り、とは甘えと一緒ってご存知ですか?怒りとは、依存心の賜物と言ってもいいでしょう。
あなたは僕があなたよりもチビだから、という理由だけで僕に向かって感情を露にして怒り出しました、、、
普通であれば、それで話が終わりまんまとあなたは自分の思い通り、あなたのペースであなた主導で話は進んでいたでしょう、、、
声の大きい方が勝つ、、、的な、とでも言いましょうか。でも、僕は違う。あなたにもそろそろ気づいているでしょう。僕があなたの敵う相手ではない、という事が。
ま、あなたの敵ではなく味方に他ならないのですが、、、。あなたは、なぜ自分がずっと悩み続けているのか。
あなたは、今あなたがその悩みの現象そのものが、あなたを悩ませている、とお思いでしょうがそれは違います。
あなたは例え、その今あなたが
『悩みだと思っている現象』が解決したとしても、必ずすぐに別の気になる現象を見つけ出して来ては、今度はそれを大きくするためのマイナスの思考を開始します、、、
まるで、その現象に『悩みに成長するための餌』を与えているようなものなんですよ、、、。あなたは、今のままでは、一生
『悩みになり得る気になる現象』を自ら見つけ出しては、それを思考という名の餌を与えては、悩みに育て上げて、ずっといつまでも悩みのある人生をしてしまう事になるでしょう。」
“悩んでいる男”は、もうこの“背の低い男”に何かを反論したり、感情に任せて怒りをぶつけたりする気にはなれなかった。
“悩んでいる男”は、思わずこの“背の低い男”の話に耳を傾けて話を聞き漏らすまい、と真剣に聞き入っていた自分に、ハタと気づいた。
『この“背の低い男”、俺の悩みを解決してくれる答えを持っているのではないだろうか。もしかしたら本当に神様に言われてやって来たのかもしれない、、、』
“悩んでいる男”は、本気でそう考えていると“背の低い男”が口を開いた。
「いいですか。」
そういうと、たっぷりと間を持って次の言葉を慎重に、なおかつ優しさというオブラートに包みながら“背の低い男”はゆっくりと話し始めた。
「人は愚かな生き物です。食物連鎖の頂点に君臨して、勘違いしているのでしょうが、実はまだまだ未完成の生物に過ぎない、、、。
それでも頂点に立った以上、完璧であるという錯覚が人の心を支配し、今まで子孫繁栄を繰り返しながら、『人科』という種を今日まで紡いで来ました、、、
でも、まだまだ多くの問題点を『人科』の我々は抱えている。そのひとつがあなたが今一番解決したいであろう、『悩み』の問題です。
問題は何も悩みに限らず、まだまだ数えきれない程たくさんあります。言い出せばキリがありません、、、
今回、僕は神様にあなたにヒントを出すように、と導かれあなたに会いに来たのです。かつて僕も、今のあなたと同じ過ちを犯していました。」
真剣なまなざしで一語一句聞いていた“悩んでいる男”は、それまでの無礼な態度を改め敬意を示すように、背筋を伸ばし正面を向き目をしっかりと合わせてこう言った、、、
「ヒントって、、、そのヒントは何でしょうか?」
“背の低い男”は、“悩んでいる男”のそれまでの無礼な態度の事をとがめる事も無く、今までと同じ口調で優しく語りかけた、、、
「停滞、、、です。」
「停滞?、、、ですか?」
“悩んでいる男”が“背の低い男”に向かって、そう言った。
「停滞が、すべてを腐敗させるのです。さきほど話したうんちの話も停滞です。」
“背の低い男”がそう言うと、“悩んでいる男”がそれに続いた、、、
「そうか!、、、確かに腐敗していきますね。でも、僕の悩みとどんな関係があるのでしょう?」
“背の低い男”が、言葉を選びながら丁寧に再び話し出した。
「悩みと停滞の関係の前に、停滞がなぜいけないのか、について補足しておきましょうか。停滞というのは、停止、です。
停止とは、死と同義とでも言いましょうか。死は、停止した時に訪れます。呼吸、鼓動、細胞分裂、、、生物は、すべて振動から成り立っているのです、、、
人は活動し、動きのある中で生きています。でも、そこに落とし穴が待ち受けて、我々を苦しめます。それは、思考です。
思考は、建設的に使えば活動に連結されて良いのですが、それとは逆に、停滞をもたらす思考があります、、、
それが、あなたが今現在抱えている『悩みの現象』に他ならないのですが、その悩みは、思考から始まります。
思考自体で始まる場合と、ある出来事、つまり現象があってその現象が発端となって思考が始まる場合があります。
現象から始まる場合、すべての現象というのは、ひとつの出来事に過ぎません。それ自体には何の意味も持ちません。
でも、そこに『個人的な意味』を持たせてしまうのが人間。それがプラスに転じる意味合いであれば良いのですが、マイナスに転じる意味合いを与えてしまいがちなのが、人間なのです、、、未完成で愚かな人間です。
なぜ、そんな法則があるのか、と言うと、人は種族を守るため、危険を察知しいち早くその危険から遠ざからなければ絶滅してしまっていたでしょう。
でもそれは、太古の昔、人には多くの天敵が居た時の話です。
その時のなごりを天敵の居ない今もなお、その矛先を天敵から、
『自分に関わる身体の不調や不具合、人間関係』
にまでおよび、その行き場の無い『子孫繁栄のための叡智である素晴らしいシステム』を、持て余し間違った使い方をしているに過ぎないのです、、、。
このような背景が我々の潜在意識に刻み込まれているのです。
でも、今現在、人の天敵は居ません。ま、厳密に言えば人の天敵は、人だったり自分自身だったりしますが、それはこの際脇に置いておきましょう。
天敵の居ないこの今の時代、果たして、命に関わる危険がどれほどあるというのでしょう?、、、
目まぐるしい時代の移り変わりと、流れの早さに人の身体や仕組みがついていけれていないのです。
江戸時代で例えると、江戸時代の人が一生で得る情報量が、今の時代では2日で入って来るスピードだという程なのです。早過ぎるのですスピードが、、、
大切な事、は。流す、という事に他なりません。循環です。人の体にもその証拠を見てとる事ができますよ、、、それは血液です。
血液が停まれば停滞し、ものの数分でその部位は壊疽を起こし、腐り始めます。すべての原理原則は同じです。流れるものの中に、進化は生まれます。」
“悩んでいる男”は、人生で初めて真剣に人の話を聞いているかのような顔つきで、つぶやくように言った。
「そうか、、、僕の今悩んでいる事は、停滞と一緒だ、、、。同じ事ばかりを考えている、という事はまさに停滞しているということか、、、。と、いう事は停滞ではなく、、、循環?循環が大切なのか、、、?」
「そうなんです。あなたの今言った事がこの悩み、という問題のすべてです。すべての出来事、、、現象というのは必ず両極生を持ち合わせています。陰と陽です。
光と陰と同じで、単体では成り得ません。生と死もこの仕組みで成り立っています。ですから、何かの出来事に遭遇したら、そこに自分を囚われてはいけないのです。
無意識で居れば多くの人はマイナス点に目を向けてしまいます。そうではなく逆の、プラス面を意識的に見るようにします。
自分の都合の良いように感じればいいのです。停滞したら、動きが悪くなり疲れます。疲れないようにする事ですら疲れてしまう、という悪循環に陥るのです。
停滞させず、流します。流し方は様々な方法がありますので、それはあなた自身が経験や体験を通して自ら気づいて下さい。流れが重要なのです。
一点をずっと閉じ込めてはいけません。循環させる方法を探すのです。よく自ら気づいてくれました、、、。これで僕も神様に願いを叶えてもらえます。」
“悩んでいる男”は、ゆっくりと大きく頷き、“背の低い男”の方を改めて見て、こう質問した。
「あなたの年齢は、何歳ですか?」
“背の低い男”は少し考えてからこう返した。
「年齢という概念に囚われている時点で、それは停滞の領域ですよ。年齢というのは、整理や区別する為に、愚かな人間の作り上げた認識の為のものに過ぎません。
人と言うのは木の年輪のような仕組みではなく、レコードの溝と同じ仕組みのはずなのですよ本来は。
溝は1本ですが、螺旋して重なっているように見えて、あたかも数百本、数千本に見えているだけに過ぎないのです。
すべては1本の道なのですよ。レコードの溝の数は何本あるか?と訪ねられても答えは1本なのです。螺旋していく道筋なのです。
年輪には区切りがあります。人は生きている間中、区切りはなく1本の長い道のりがあるだけなのです。そういった概念を認識して頂いた上で、私の人としての年齢は、、、6歳です。」
「え!!、、、6歳!?」
“悩んでいる男”は、これには驚いた。
「もしも、何度生まれ変わっても、僕には“前世の記憶”がすべて残っていたとしたら、、、それでも僕が6歳だという事に対して疑問感を抱くとお思いですか?
年齢という概念は先ほども言ったように必要な事ではないのです。僕には、ある使命があって何度生まれ変わっても、前世の記憶がくっきりと鮮明に記憶にあるのです。
ですから、あなたの悩みについて、もよく知っているのです。もう、かれこれ800年程前にその問題は、完全に解消しています。」
「それでは、あなたの願い、とは一体なんなのですか?」
「、、、おっぱいパブに行く事」
「な、なに!?幼稚園児が何言ってるんだ!!このやろー!!」
完。
いい加減にしろ!!!!!時間を返せ!!!と思われた方、スイッチポン!、、、あ、間違えた。スイッチオン!!、、、あ、スイッチじゃなくってクリックだった。↓
今回は、幼稚園児と大人の会話で、おっぱいパブというキーワードを使って、どこまで物語りとして成り立たす事ができるのか、というテーマで書いてみました。1時間半もかかっちゃった、、、仕事忙しいのに!!さ、仕事の続きやろ。