地元中学の裏の民家に学生服を着た強盗が押し入ってから3日程たったある日。
後輩の一人が別件で警察に捕まったので、派出所に様子を見に行った、、、
すると、なぜだか警察官たちがザワつき始めた。
一人の一番年配の警察官が信じられない一言を言ったのだった、、、
「おい、足立。お前何か俺に言わなきゃいけない事があるだろ?」
俺は、何の事かまったく分からないので、
「何を?」
すると、年配の警察官は意味ありげな感じを臭わせながらこう言った。
「何もないんだな?、、、そうか、今のうちだぞ。どんどん罪が重くなるぞ。知らんぞお前、、、」
俺は、何の事か意味が分からず考えていたがまったく分からず頭の中にクエスチョンマークがずっと点滅していた。
俺は、後輩と一緒に派出所を出て家に帰った。
帰宅してからも年配警官に言われた言葉がずっと頭の中で渦巻いていた。
が、突然意味が分かった、、、
『そうか!この前の強盗事件の事を言っているんだ!!』
俺は、それを理解した瞬間に沸々と怒りが込み上げて来たので、夜の10時半過ぎだったが、すぐに家を出て一人派出所に向かった。
途中、公衆電話でその事を一人の友達に伝えた。
派出所に着くと年配の警官は、見回りに行って留守だという。
戻って来ると言うので俺は椅子に座って待っていると、すぐに戻って来た、、、
俺を見ると、少々驚いた様子だった。
俺は、すかさず言った。
「俺が強盗犯だと思ってるんだろ?、、、証拠は?証拠出してみろ!!」
教護院から出てきたばかりでハクが付いたと思って勘違いする俺。
「おぉ、威勢がいいなぁ〜足立。お前、教護院から出て調子に乗ってるんじゃないぞ。」
「うるせ〜んだよ!!お前には関係ねぇだろ。」
すると、俺の怒りを鎮めようと若い警官が割って入った。
「口の聞き方に気をつけて。」
「うるっせーな、お前は関係ねーだろ。黙ってろ!!」
すると年配警官が言った。
「強盗はお前じゃない、って言うんだな?」
「違うわ!」
と俺。
「、、、そうか。実はなぁ、お前がマークされてる。、、、本当に違うな?」
と年配デカ。
「もしそうなら、来る訳ない。さっきココで言われた時、意味も分からなかったし。」
と俺。
「そうだよな。俺も今日のお前を見て違うな、と思ったんだよな。悪かったな。」
と、あっさり引いたので、正直俺はホッとしたのだった。
正直、俺はそのまま捕まって大事になって、警察署に連行されると思っていたのだ。
「足立は、犯人が誰か知ってるのか?」
と、聞かれたので
「知らない。他の中学の奴らじゃないかと思ってる。」
と、俺が思っている事を言った。
それから若い警官も交え、その事について話込んだ、、、
結果、その年配の警官と若い警官と仲良くなった。
年配の警官は、お互い知っていたが話す事はその日までなかった。
「こんな時間まで悪かったなぁ、お前時間は大丈夫なのか?親は心配しないか?」
「今まで家出を繰り返してるから、こんな事くらいで心配しないから大丈夫。」
「そうか、それなら良いんだけどな、、、。それから、お前が犯人じゃないって事は、明日俺が責任を持って署に伝えておくから容疑は晴れるからな。」
と、容疑が完全に晴れたのだった。
その日、気になって派出所に乗り込んで良かったとつくづく思った。
結局、その日は若い警官が家までパトカーで送ってくれたのだった。
余談だが、その若い警官と仲良くなり過ぎて、その事が問題になり大変な事に成ってしまったが、その話はまた今度書こうと思う。
強盗犯は、その後結局見つからず時効を迎えたのだったが意外な結末が待っていたのだ。
その後、20年以上が経過した頃、その時の犯人の二人が誰だか判明した、、、
その二人と言うのは、俺たちの仲間だったのだ。
あの日、その二人は学校に来ていなくて疑われる事無くやり過ごしていた。
その後、自分たちが犯人だったと白状したのだ。
面白い裏話があった。
包丁を突きつけられた、と犯人が言っていたがそれはウソだと言っていた。
誰も居ないと思って鍵のかかってない家に侵入したら、おばさんに見つかったので逃げ出しただけだと言っていた。
ま、そいつらのやりそうな事だが、実は先日岩屋堂に行った時、その時の主犯に偶然会った。
もう、白髪頭になっていた。
俺は、ある意味白髪頭だ、、、
俺、大丈夫かな、、、。