「今日の看護婦さん、可愛い子でさぁー、俺に絶対気がある。」
「何で気があるって思った?」
「だって、次の予約を取る時に俺に、
「何も食べずに来て下さいね。」
って言ったんだぞ。一緒にご飯食べるつもりだよあれは。こういう時って俺がおごった方がいいのかな〜?」
「お前、アホか。お前、次の予約って検査だろ。バリウム飲まされるだけだバカ。」
友達は、凹み恥ずかしさを通り越してふて腐れていた。
こういう勘違いな話は、たま〜に起こる。
昔、友達とエレベーターに乗っていた時もそうだ、、、
扉が閉まり始めた時だった。
50歳くらいの太ったおばさんがエレベーターに向かって走って来る姿が見えた瞬間に俺の友達は、、、
そのおばさんに気づき、すぐさまボタンを押した。
『へぇ〜優しい奴だ。暴走族のくせに、、、』
と、思ったら、何と扉はそのまま閉まったのだった。
俺は、お前ひどい奴だなと言ってやろうとした瞬間、友達から信じられない言葉が飛び出した、、、
「しまった、、、屁をしてしまった、、、。」
俺は、息を吸い込まないよう気をつけながら、すかさず言った。
「お前、信じられんな!バカか!」
エレベーターには、他に6人程の人が乗っていたが、全員が一斉に顔を背け露骨に息を止める人もいた。
その友達は、申し訳無さそうに、
「しまったぁ〜、、、」
とつぶやいているが、俺も息を止めていたので、とりあえず何も答えずそこはスルーした。
何と言ってもここは密閉された密室だ。
俺たちに出来る事と言えば、次にエレベーターの扉が開くまで息を止める事が最善だ。
今、まだ3階だ、、、
次に扉が開くのは8階のレストラン階だ、まだまだあるな。
8階までの時間が、1時間にも2時間にも感じた。
『よし!それまで自分たちが出来る事をするだけだ!それしか道は残されていない!!』
きっと、全員が同じ目標に向かっていたに違いない、、、
なんだこの一体感、、、。
見ず知らずの初めて会った人達との親密で有意義な時間の過ごし方に思えた、、、
絆って、こうやって芽生えていくんだな、、、
『、、、人って、同じ方向を向く事が大切なんだな。人間っていいな、こんな事でも暗黙のうちに同じ目標を持って、そこに向かう事ができるなんて素晴らしい、、、。動物の中で人間だけだろうな、こういう気持ちになれるのってさ、、、。目標や目的って、形が無いけど、こうして息を止めるって事が、その形の無い“目標”という名のゴールに向かってできる“形ある行動”に他ならない、、、。形の無い目標を、形ある行動にして行く事って大事な事だな。自分たちが向かっている目標や目的を信じるには、こうして形ある行動をする事によって確信に繋がって行くんだな、、、人間万歳だ。このあと、エレベーターの扉が開いた時、そこに明るい未来が待っているんだ!!ココに居る全員が同志だ!この後、みんなで養老の滝に行って乾杯だ!扉が開いたら、みんなを誘ってみよう!!きっと来る、みんな来る!!だって俺たち同志なんだから!!』
と、思った瞬間エレベーターの扉は開き、俺はみんなに
「これから養老の滝行きましょう!」
と声をかける瞬間だった、、、
友達がこう言ったのだった、、、
「しまったなぁ、“閉”のボタンを押しちゃった。」
エレベーターに乗っていた全員が、え?という顔して友達の顔に視線を向けた。
俺はすかさず言った。
「お前、さっき屁をしてしまった、って言ったよなぁ?、、、」
「違う違う!屁なんてしてない!俺は、
“閉”を押してしまった、
って言ったんだ!!」
エレベーターに乗っていた全員が、ホッとした様子で思い切り空気を吸っていたのは言うまでもない、、、
よかった、養老の滝に誘わなくて♡エヘヘ
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