2010年6月4日金曜日

男の決断力

過去のブログのリクエストが入りましたので、今日はそれを。



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あれは、17才の時の話だ。





俺のやんちゃぶりは、大人たちを困らせていた。





俺に手こずり、どうしようもなく“ただただ俺のしでかした極悪な悪さを”、水で流してくれていた、あの話をするとしよう、、、。




水に流す、、、
これが今日のキーワード。





あの事は鮮明に憶えていて、忘れたくても忘れられない記憶になっている。





建設会社に勤めていた頃に慰安旅行で行った淡路島での出来事だった。





2泊3日、12人で行った淡路島。





朝と昼の間は2班に別れ、釣り班と陸班に分かれての別行動。





俺は、元々暴走族だったから『男の中の男』ぶりを、すでにその頃から、その片鱗を見せ始めていたようだ。





俺は自分はどちらの班で行動するか、という希望を出した、、、。





『男』と言えば、海。海と言えば漁師。





漁師は、『男の中の男』だけがやる職業という事は、周知の事実。





海班は、荒れ狂う海へと釣りに行くのだ、、、。俺の中の男の血が騒ぐ。





「よし!!」





と、小さいが声を出し、自分を高めた。





俺は一切迷わず、社長に限りなく男っぽく、触れば傷付けそうな勢いで、こう言ってやった、、、。





「社長!!陸班でお願いします!俺、船酔いが酷いんで、、、。ハハハ」






俺は、肩で風を切ってその場を去った。颯爽とカッコ良く、、、






すると社長は、大声で俺に向かってこう言った。





「おい、足立!お前一番若いんだぞ、釣りだろ普通は。陸班は、お花畑に行って寺周りするだけだぞ、おい!!釣り行くぞ釣り!」





俺はすかさず、振り返ってこう言ってやったんだ、、、





「は、花が、、花が好きなんです花が。俺、レンゲ摘みが趣味なんで、、、。」





「情けないヤツだなぁ〜おい、女の子みたいだな、ハッハッハ〜〜〜〜!」






他の仕事仲間も俺を見て笑っていた、、、。






俺は、オオカミのように鋭い目つきで、ライオンのような風格で、






花畑の方へと目をやって、その場を小走りで男らしく去った、、、。





『ふぅ〜、、、言ってやったぜ。』





俺は昔から決断力がある。





俺は、陸班のメンバーといっしょに寺巡りに向かう準備をした、、、。







陸メンバーは3人。





社長の奥さん、俺、そして一番年寄りでおじいちゃんの瀬戸さん。





ガ〜ン、、、。この3人??





俺は、寺巡りに行くのをやめる方法を真剣に考えようかと思った、、、。






でも、さすがにここで別行動をとる一匹オオカミっぷりは、こらえ一緒に行動する事にした。大人な俺の紳士な対応だ。






「奥さん、瀬戸さん!写真撮るよ〜、、、はい笑って〜、、、ハイチーズ」






というフレーズも男っぽく何度も決めてやった。






そして、寺巡りも花畑巡りも終え、ホテルへと帰って来た。





「楽しかったねぇ〜!!奥さん!瀬戸さん!」






案外、楽しかった自分に腹が立った。俺は女の子か!、、、






釣り班がもう風呂へ入っているとの事で、俺は風呂へ急いだ。






風呂に入ると、シャンプーをしている、仲の良いおじさんの平野さんが目に写った。





これは、、、






俺は、ワル。悪巧みをすぐに思いついた。





シャンプーし終わって、お湯で髪の毛を流し始めた平野さんの頭に、こっそりとシャンプーをそっと垂らした、、、。





平野さんは、気付かないようでどんどんお湯を髪にかけて、泡を洗い流そうと必死だ。






俺は何度も何度もシャンプーをこっそり垂らす、、、。





俺は、笑いを堪えるのに必死。『ぷぷぷ』





平野さんは、目をつむっているので、まったく俺には気付いていない様子だ。






他のメンバーの何人かが、俺のワルさぶりに目を向けて、きょとんとしている。





『俺のワルぶりに、誰も何も言えないんだ!、、、手が付けられないワルって、俺みたいなヤツの事を言うんだな。百獣の王ライオンみたいなヤツだな俺って、、、』






俺は、5度、6度と平野さんの頭に、シャンプーを垂らした。






笑いを堪えるのも限界だ。みんなの方を見ながら、俺は声を出さずに笑いながら






『見て見て、、、平野さん気付かないよ、、、笑っちゃうね!』






とシャンプーしている平野さんを指差しながら、心の声をみんなに投げかけていた、その時だ。






信じられない事が起こったのだ、、、。


















「よぉ〜足立。お前、釣りに来てたら楽しかったぞ!入れ喰いだったぞ。」






と、後ろからなんと、、、、、


















平野さんが風呂に入って来たのだ!!!!!!






『??????』






俺は一瞬にしてクエスチョンマークがたくさん点灯した。






今、目の前で何が起きているのか理解するのに時間は必要無かった、、、。






『、、、って事は?、、、』






俺の顔は、血の気を失い笑いが消えた。






一生笑えなくなるのではないか?と思えるほど、笑いとは一番ほど遠い所に俺は行ってしまった。






『、、、こ、この人、、、この人、、、』






最悪でも同じ建設会社の人であってくれ!と願ったが、そんなはずはなかった、、、。






平野さんが、





「お前、何やってんだ?、、、誰?この人。」





それは、この世の中で今俺が一番聞きたいセリフだった。





そのセリフを平野さんに横取りされた。






、、、俺は何も答える事ができない、、、





その人物は、もの凄く乱暴になり始め、






『キレのないシャンプーだなぁ!!』





と言わんばかりに、お湯をバッシャンバッシャンかけている。





俺は、そっと、その場を去った。





「おい、足立どこ行くんだ?」






本物の方の平野さんが言った。





風呂にも入らず脱衣所へとライオンが獲物を捕る時のようなスピードで去った、、、。






振り向くと、平野さんの偽物の方の恐そうなおじさんが、眉間にシワを寄せてこっちを見た。





『ま、、、まったく似てないじゃんか。』





似てるのは色黒さと体つきだけだった。




顔は思いっきり別人
俺は男の中の男、、、、、、
速攻で部屋へと逃げたのだった。





、、、俺は決断力のある男。






終わり





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